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教育委員会の目指す姿から設計される、
公教育コンサルティングとしての教員研修
──先生とALTが、同じ景色を見るために──

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本記事は2026年9月時点の社内取材に基づいています。登場する自治体名は、一部伏せて表記しています。
本記事内の写真はすべてAIによるイメージ画像です。

リンク・インタラックは長く、外国語指導助手(ALT)を全国の学校に配置する企業として知られてきた。しかし近年、自治体から寄せられる相談は「人を配置してほしい」から「この地域の英語教育を、これからどう育てていくか」へと、確実に重心を移している。
その変化のなかで、教員研修の位置づけも変わりつつある。単体で売られるサービスではなく、教育委員会が描く教育の姿を実現するための道筋の一部へ。今回は、研修を開発・運営する本社の専門部署と、自治体の最前線に立つ支店のコンサルタントに、「教員研修」を切り口に、公教育の現場で今まさに生まれている変革の物語を聞いた。

夏季休業の一日を、どう使うか

T市(関東甲信地方の自治体。イニシャルは仮であり実際の名前とは異なるよう表記しています)の教員研修は、夏季休業中に行われた。授業のない期間とはいえ、先生方には研究も、部活動も、新学期の準備もある。そのなかで貴重な一日を割いて研修へ集まっていただく。だからこそ、その時間をどう設計するかが問われる。

今年度、T市教育委員会が掲げたテーマは明確だった。ALTを「配置する」段階から、授業のなかで「活かす」段階へ。その実現を一緒に考えるところから、自治体と伴走しながらの研修の企画が始まった。何度も議論を重ねたすえ、ついに研修が終わったあと、市教育委員会の担当者から支店の担当コンサルタントのもとへ、こんな言葉が届いた。

「先生方がこれほど楽しそうに、主体的に、活発に意見を交わしながら研修に臨んでいる姿を、初めて見ました。」

この言葉が生まれた背景には、T市がそれまでに積み上げてきたものがある。

まず、現状を測ることから始める

リンク・インタラックが教員研修の提案に入る前に必ず置いている工程がある。その地域の子供たちが、いま何にどう躓いているのかを深く理解することだ。『学び状況診断』などの独自の診断技術を用いて、子どもたちの「学び」についての意欲の度合いや課題感を数値で可視化。その結果をもとに、教員研修のテーマを自治体とともに二人三脚で描いていくのである。

「何度も直接対話させていただき、教育委員会や学校の声を聞いて潜在的なニーズを汲み取りながら、『今まさに必要とされているものは何か』を射止めていく。もちろん簡単なことではなく、教育委員会をはじめ多くの先生方に多大なるご協力を頂きながら、進めていきます。我々の長年の"勘や経験"だけに依存するのではなく、誰もが一目で理解でき、同じ視界を共有できる「数値」を確認することで、『本当に必要なこと』を深く議論し、見つけていくことができます。」(担当コンサルタント)

もちろん「35年の歴史で積み上げられてきた教員研修ノウハウ」を徹底的に活用をするのだが、刻々と変化する子どもたちや学校環境とそれでは何が変わったのかを確かめる手立てがない。測る、考える、実施する、振り返る。この往還のなかに研修を置くことを、リンク・インタラックは大切にしている。

教員研修のテーマや内容だけでなく、その目的や目指す姿をすり合わせ、そしてともに描いていく。
※画像は生成AIにより作成しています

研修を「専門部署が」つくるということ

本社で教員研修の企画・運営と教材を開発する担当者は、福岡支店で5年半、営業を経験してきた。両方の立場を知るからこそ、この体制のありがたさがよく分かるという。

「営業担当が営業をしながら自分で研修の中身も考えて、ネイティブのスタッフに少し手伝ってもらって仕上げる、というケースは決して珍しくありません。専門の部署が体系的にサービスをつくっているわけではない、という状況もあります」

リンク・インタラックには、支店とは独立して専門開発を行う部署がある。教材作成にも、研修の企画・運営にも、時間をかけて開発し、PDCAを高速で回転させながら開発することができる。裏を返せば、支店のコンサルタントは目の前の教育委員会や学校、先生方や子どもたちへ向き合うことに集中することができる。

「参加者の半分がALT」という、設計の起点

T市の教員研修を設計するにあたって、研修の企画担当者がまず注目したのは研修参加者の構成だった。全国で様々な形式の教員研修が行われてきたが、同市の研修にあたって特徴的であったのは、参加者の半分がALTであるという点であった。そこで、支店・部署とT市教育委員会がまずはチームとなり、背景に込められた「日本人の先生方とALTとが同じ研修を受け、ワンチームとなって関係性を深めながら議論し、一つの目的へ向かっていける体制を作りたい」という目的を丁寧にすり合わせるところから、研修開発はスタートしていった。

打ち合わせ当日、研修開発の担当者がまず最初に提示したのは全国の「学び状況診断」のデータだった。全国450自治体とともに歩み蓄積されていったデータを基に、T市ではどのような傾向が表れているか、全国の似た傾向の自治体で起きていることと照らし合わせながら診断結果をすり合わせていく。すると少しずつ先生方の表情が変わっていったという。

「『他人事ではない、うちの子供たちもそうだ』と、非常に真剣に聴いてくださいました。そして、子供たちが英語を『使いたい』と思える最大のフックがALTである、という共通認識を丁寧に揃えていきました。」

今年の教員研修は、これまでとは何か違ったものに出来るかもしれない―そんな期待感が高まっていった。

ALTと教員とがワンチームとなり関係性を深めながら、一つの目的へ向かっていける体制を目指す。
※画像は生成AIにより作成しています

課題は、「人」ではなく「間」にこそある

T市の教員研修には、もうひとつ大きな設計上の判断があった。日本人教員とALTがペアで参加するという形式を重視し、市のほぼ全員のALTを研修の場に呼んだことだ。

「学校現場の先生方は、本当にたくさんの悩みを一人で抱えていらっしゃいます。だからこそ、外国語指導の"助手"である以上に、ALTが悩みや問題に立ち向かう先生方の第一のパートナーとなれることを目指すのはどうかと提案していきました。互いが同じ目的へ向かっていること、互いの考えを理解し合い協働する意思がより紡がれること、そのために必要な深いコミュニケーションを重ねられることの重要性に、教育委員会の先生方も真剣に耳を傾けてくださいました。」(担当コンサルタント)

そこでリンク・インタラックが持ち込んだのは、課題やその原因を「誰か個人の資質」に還元するのではなく、「人と人との"間"のなかで捉える」という視点だった(※)。ALTとの関係性のつくり方や、授業のなかの役割分担、子どもたちへの声のかけ方や届けたいメッセージの策定、ひいては中長期の指導計画やストーリーづくりにいたるまで。「誰か一人だけが、眼前の課題に取り組む」のではなく、課題を「間」に置くことで、"同じ課題に共に立ち向かうチーム"がそこに生まれる。だからこそ、教員研修を「チームが生まれるきっかけ」にするべく、日本人教員とALTが二人一組で"一緒に学ぶ"形式にしたのである。

「これは決して教育の場だけではなく、民間企業も含めあらゆる組織に通ずる考え方だと思っています。課題は"間"にこそあったんだと伝わると、何か凝り固まっていたものが、そこでほどけるんです。人は『自分が悪かったわけじゃないんだ』と心から思えると、そこから前向きに関係性を変えていこうという勇気や意欲が湧いてくるのだと思います。」(担当コンサルタント)

二人が同じ場で、同じデータを見て、同じ言葉で語り合う。その状態で新学期を迎えられることの意味は大きい。

※注釈:組織を「要素還元できない協働システム」であると捉える、関係論に立脚した考え方。同社が所属しているグループ法人リンクアンドモチベーショングループが有する独自技術で、民間企業や官公庁など、組織変革の支援をする際に用いる体系化された組織理論。

課題や目指すべき方向性を、「間」に着目することで見出していく
※画像は生成AIにより作成しています

一年間、対話を重ねて

もちろん、こうした設計が十全に機能するにはしっかりとした「共通認識の土台」が必要である。

「昨年一年間で、何十回と教育委員会に足を運ばせていただきました。貴重なお時間を割いてくださり、対話の機会を重ねてくださいました。」

転機は新年度4月の派遣説明会だったという。対面で行われた説明会の場で、教育委員会の担当者が校長先生方の前で、担当コンサルタントの想いや人柄、そしてリンク・インタラックとT市でどんな挑戦をしていきたいかを、熱心に校長先生方へ紹介してくださったのだ。

「本当に感謝と感動の念が絶えませんでした。続いて校長先生方へお話しする番が回ってきた際、『日本の教育をこうしていきたい、子供たちを豊かにしたい』という、いちばん上の目的からお話しさせていただきました。そしてその実現のために、支店だけでなくリンク・インタラックが一体となって全力を尽くします、と。目指す先を共有し、共に走りたいという意思を明確にお伝えし、そのうえで対話を重ねる。この土台なしに、各論や手法だけを持ち込んでも、T市の真のパートナーとして伴走できないし成果も生まれない、そう思っていました。」

「リンク・インタラックの強味である『組織力の高さ』をフル活用しようと考えました。世の企業では、本社や開発側と現場側とのコミュニケーションが滞り、社内で連携をしようにも一苦労する、なんていう話も多く耳にされますが、私たちは普段から支店や本社などの垣根を越えてコミュニケーションが活発に行われています。T市の挑戦を研修開発チームへ伝えた際にも即座に連携が始まりましたし、教育委員会の先生方と研修開発の担当者を直接引き合わせられるよう、最速で場を作りました。支店のコンサルタントが自治体のニーズを中途半端に伝言するのではなく、プロ同士に直接話してもらい、お互いが『良いチーム』になってくださるよう、結節することが役割だと考えていました。」

「共通認識の土台」があることで、本音や本質があふれるチームにつながっていく
※画像は生成AIにより作成しています

研修は、終わりではなく始まり

研修が盛り上がったこと自体は、まだゴールではない。担当コンサルタントは今年度、研修に参加された先生方へ個別にご連絡しその後の変化感や新たに生まれたお悩みをお聞きして回る予定だという。

「教員研修の内容を授業で活かせていますか、とただ伺ってまわるのではなく、そこで生まれる対話もまた重要な機会だと思っています。小さな成功体験が積み重なっていく感覚を少しでも持っていただけた先にこそ、本当の変化と定着につながります。研修を"単発のイベント"で終わらせないための、いちばん大事な時間だと思っています。」

教員研修の場をきっかけに、学校の先生方とALT、教育委員会とリンク・インタラック、全方位の信頼関係が紡がれ、さらにその後のコミュニケーションの量や頻度が増し続けていく。教育委員会・学校・リンク・インタラックが、ひとつのチームに近づいていく。

「先生方と一緒に、子供たちを育てさせてください」

近年、「教員研修」に求められるものは大きく変わってきている、と研修開発の担当者は言う。かつては「著名な講師の方々の講演を聴く形式」が中心で、依頼いただく内容も「これからの教育」など大きなテーマで括られたものが多かった。一方で現在は「子供たちの主体性をどう育むか」「個別最適な学びをどう設計するか」「ALTとどう協働するか」といった、具体的に踏み込んだ、実践的なテーマに細分化されてきている。「先生方ご自身が『自分がやらなければ』と、強く当事者意識を持たれている。だからこそ、私たちにもそれに応えられるだけの力が求められていると強く感じます。」(研修開発担当)

最後に、二人からのメッセージを紹介したい。

「ずっと抱いている思いは『先生方と一緒に、子供たちを育てさせてください』というものです。教員をしている私の旧友たちは、日々の忙しさのなかで最新の情報や変化が届きにくいと話します。行政が進めてこられた先進的で重要な取り組みを、民間という『より自由かつスピーディ動ける立場』を生かし、自治体や教育現場の先生方を補完できるよう、そばで支えていきたいと思っています。」(支店の担当コンサルタント)

「先生方って、本当に、本当にすごいんです。尊い仕事だと心から思っています。限られた時間のなかで、子供たちのために真剣に悩んでいらっしゃる。そんな先生方を支えるためなら、私たちは力を尽くします。学校は、子供たちが『将来、自分で自分を幸せにする力』を育む場所ですから。先生方が少しでも悩まれたらすぐに駆け付けます。仲間として、私たちを頼ってください。」(研修開発担当)

教員研修は、ゴールではない。目的はいつも、先生方と子どもたちの側にある。私たちにできるのは、その実現までの道筋を一緒に描き、伴走することだ。リンク・インタラックが掲げる「公教育コンサルティング」という言葉にその意味を深く込め、これからも全国の先生方とともに歩み続けていく。

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